F1日本GPのタイミングで久々にF1を観た、という方も多いのではないだろうか。そこで、今年起こった大クラッシュについて説明しておこう。それは、ひとつ間違いがあれば彼の人生は大きく違っていたくらいの大事故だった。
F1ハンガリーGPの予選
2009年7月25日(土)、F1ハンガリーGPの予選中に悪夢は起こった。なんと時速280kmで走行中のフェリペ・マッサに向かって、スプリングが勢いよく飛んできた。ヘルメット左側に直撃したマッサは、脳震盪を起こし意識を失った。そしてそのまま一直線にコース外へ。幸い、そこは何重にもタイヤバリアが張られている場所だったため、スプリングが当たった頭部以外が骨折するようなことはなかったが、頭蓋骨損傷という重傷を負い、集中治療室に入っていた。
気がついたのは3日後。
しかし、本人は意識を失っていたせいか、気がついたら病院のベッドにいて何も覚えていないという。意識を取り戻したのは3日後だった。
F1は僕の人生
気力だけは年内復帰を目指していたが、怪我の完治と体力を取り戻すことに集中するため、2010年開幕戦の復帰を目指すこととなった。
現在、カートでの練習走行を開始したとの情報。そしてフェラーリの本拠地マラネロにあるシミュレーターでのトレーニングを開始する。
時速280kmで壁に突っ込む大事故を起こした後、それでも「今すぐ復帰したい」と話すマッサは、F1を「僕の人生。それが僕のしたいこと」と語っている。F1はひとりの人間を蘇らせるほど魅力的なスポーツだ。
2010年、フェリペ・マッサはチームメイトとなるフェルナンド・アロンソとともに開幕戦のスターティンググリッドに並んでいることだろう。彼ほど自分のやりたいことを貫き通す精神力があれば必ず成し遂げられる。大事故や苦境から復活したドライバーの精神は、恐いものがなくなったせいか、生きる力が強くなったのか、なぜか速さが増しているように見えることが多い。F1復帰を目指すフェリペ・マッサの帰りを心から願いたい。