トヨタの2009年ブラジルGPテクニカルプレビュー

2009年10月14日(水)Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加
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パスカル・バセロンQ&A
インテルラゴスのコース特性を教えてください。
「数年前まで私たちは、“インテルラゴスはバンプが非常に多く、そのため、そうしたバンプを吸収すべく、サスペンションのセッティングに週末の時間を費やすことになる”とよく話していたものだ。だが、近年の改修作業を経て、今やインテルラゴスは他のほとんどのコースと比べても特にバンプが多いということはなくなった。だからこの点はもはやインテルラゴスならではの特徴ではない。一方で、とても興味深いコースレイアウトは現在も同じで、低速、中速、高速の各コーナーと長いストレートがあるため、かなりチャレンジングなコースだ。インフィールドでパフォーマンスを高めつつ、ホームストレートの終わりでオーバーテイクのチャンスを得るには、ダウンフォースとドラッグのレベルにかんして妥協が必要になるんだ」

インテルラゴスはTF109に合っているでしょうか?
「われわれはこれまでもブラジルでは常に速かったから、今回もかなり高い競争力を発揮できると予想している。インテルラゴスはわれわれの風洞で採用している基本設定に近いので、空力効率に関して、われわれのクルマはこういうタイプのコースに合っているはずだ。昨年は、ヤルノがかなり重い燃料ながらも予選2番手タイムを出したり、われわれには間違いなく表彰台に上がれるだけの速さがあった。レースペースも良かったが、雨の影響でやや難しい展開になって、最終的にわれわれは表彰台に届かなかった。みんなが良く覚えているように、ティモは最後のあの数周、雨が降る中でドライタイヤを履き、非常に上手く走ってくれた。その結果、彼は順位を1つ上げ、6位でフィニッシュしたんだが、われわれとしては表彰台に上がれる速さがあっただけに、幾分、落胆を感じた」

現在、シーズンが終わりに近づいていますが、TF109をどのように評価していますか?
「今シーズンのわれわれは実質的にあらゆるタイプのコースで競争力が高かった。唯一、モナコでパフォーマンスが落ちたが、シンガポールでの2位という結果からも分かる通り、われわれはその問題を理解し、低速域でのパフォーマンスを取り戻している。しかし、われわれはここまで実力を安定して発揮できなかったため、シーズンの終わりになった今、自分たちの純粋な速さを考えれば当然手にしていたであろうポイントを獲得できていない。予選で良いグリッドを手にしていながらレース中に問題に直面したり、難しい予選の後、レースでは非常に競争力が高かったということが数度あった。これがわれわれの最終的な合計ポイント数に影響したんだ」

TF109の長所はどこだったのでしょう?
「全体的にTF109には長所が数多くあり、今シーズン、性格の異なるさまざまなサーキットで競争力が高かったのもそれが理由だ。長所として何か特定の分野を挙げなければならないとしたら、私なら、中程度のダウンフォースにおける空力効率が非常に良好で、クルマの安定性、特にブレーキングの安定性などが良好だと言うだろう。これによりコクピットのドライバーがかなり自信を持つことができ、ドライブするのも比較的容易になっている」

TF109には何か弱点はありましたか?
「冬期テストのかなり初期の段階で、このクルマは全体的に良好だとわれわれは気づいていたし、修正すべき問題は特になかった。重要なのは、それ以降開発を続けていくことだった。とにかくさらなるパフォーマンスを得ること、そして全体的な空力効率を改善することが重要だった。われわれが対応しなければならなかった唯一の問題はモナコだった。あの週末は、低速でのグリップとダウンフォースが不足していることが明白になった。しかし、われわれは既にこの問題を解決している」

TF109の開発ペースをどう評価していますか?
「もちろんわれわれは懸命に開発を続けてきたし、開発ペースはかなりのものだった。シーズンの滑り出しでわれわれの競争力はかなり高く、そしてそれと同じようなレベルでシーズンを終えつつある。このことは、われわれが開発の面で遅れを取らなかったことをはっきり示している。シーズン中のテストが禁止されていたにも関わらず、クルマのパフォーマンスを大いに高めてきたが、これはチーム全員による相当な努力の賜物(たまもの)だ。もちろん、シーズン中は、他チームに対する相対的な競争力の上下はあった。この最大の理由は、今シーズンの各チームの戦力が過去にないくらい接近していることだ。だから、その時のコースへの適性の善し悪しや僅かな相性の違いが、順位の大きな変動に繋がるということが頻繁に起こったんだ」

今シーズンのパフォーマンスに関わる要因として、タイヤはどのくらい重要でしたか?
「今シーズンのタイヤは、昨年のものよりも、やや使いこなしが難しかった。タイヤ特性が一段階過敏になり、以前より使うのが難しくなったが、これはスリック用コンパウンドの特性によるものだ。今シーズンのスリックタイヤはこれまでの溝付きタイヤよりも遥かに上手にコンパウンドを使っている。その結果、コンパウンドの作動温度領域がとても狭くなっている。こうしたスリックタイヤは路面温度と熱入れに対し以前より過敏になり、このせいでその時々の走行によってグリップのレベルが変わり、ドライバーが驚くことになる。われわれは各レースの週末の序盤に、各スペックのタイヤの正確な特性とそれに関する問題を特定するため、かなりのエネルギーを注いでいる」

可動フロントウイングはパフォーマンスに対し、何か効果はありましたか?
「ある程度の重量がかさむとはいえ、可動フロントウイングはあった方がいい。その理由は2つある。まず、ある周回におけるクルマのバランスの調整ができること。その結果としてパフォーマンスの手助けになることが挙げられる。コースの高速セクターと低速セクターの間でバランスの相違がある場合に、1周につき1回、バランスを調整できるからね。特に予選の走行や、あるいはレース中にタイヤの摩耗を補うためにバランスを調整する際にはこれが役に立つ。だから、純粋なパフォーマンスの向上のために、これが大きな助けになっているよ。それに加えて、これのお陰でセットアップ作業が以前よりも短時間で済む。以前は、サスペンションの硬さや重量配分を変更する際、適正な空力バランスを推測しなければならなかったし、もしそれを間違えた場合、修正するためにピットインしなければならなかった。今はドライバー自身がアウトラップで空力バランスを調整しており、これによりセットアップ作業がかなりスピードアップしている」

(トヨタ・プレスリリース)

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