”フィナーリ・モンディアーリ”は、フェルナンド・アロンソにとってフェラーリでの初めてのイベントであり、フェリペ・マッサにとってのデビューではなかった。しかし、マッサにとっても特別な日になったことは間違いない。
マッサはこの日、7月25日(土)のブダペストから遠ざかっていた”自分の”F60のコックピットに帰ってきたのである。マッサは10月12日(月)にフィオラノで数周走っていたため、フェラーリのF1に乗るのはこれが事故以来、初めてのことというわけではなかった。しかし、フィオラノでの走行は単なる前菜のようなもので、この日のマッサは多くのフェラーリファンを前にして走行を行った。マッサは次のように感想を語っている。
「ここへ来ることができて、チームと一緒に働けることがうれしいよ。サンパウロでも、アブダビでも彼らと一緒にいたけど、ドライブするのは本当に特別なんだ! この場を借りて、この数ヶ月間とても熱心に僕のことを支えてくれたファンにもお礼を言いたい。素晴らしいメッセージをたくさん受け取ったよ。2010年はファンを満足させられるといいね。フェルナンド(アロンソ)と僕は、F1で最高のペアになりたいと思っている」
マッサは20周ほど走行した。まずはチームメートであるマルク・ジェネ、ジャンカルロ・フィジケラ、ルカ・バドエルと走り、何度かピットストップを行った後は単独で走行していた。最後には、他のF1マシンや、FIA GTを制したAFコルセやルマン24時間で優勝したリシ・コンペティツィオーネのF430とともにパレード走行を行った。
ショーが終わった後マッサは、このように語っていた。
「最高だったし、とてもうれしいよ。少ししか走れなかったけど、楽しめた。モチベーションはとても高くなっている。今日のことは、僕にとって優勝みたいなものだね。ハンガロリンクでの事故の前と、何も変わっていないようだった」
マッサのエンジニアであり、この日はピットウォールにいたロブ・スメドレイはこう語った。
「フェリペは勝利の味を楽しんだ。彼のレース復帰に向けて、また1つ小さな一歩になっただろう。ラップタイム? そんなものは気にしていなかったよ」
マッサはイベント後すぐに空港へ向かい、サンパウロへと帰った。マッサの妻ラファエラが出産というグランプリを控えているためであり、今週か来週にも男の子が生まれる予定だ。生まれてくる子どもは、フェリペと名付けられることになっている。