ウィリアムズの2009年イタリアGPレビュー

2009年09月16日(水)Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加
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イタリアGPの概要
AT&Tウィリアムズは、モンツァでも空気抵抗を減らした際の問題に悩まされた。チームは2週間前からモンツァで苦戦することを予想しており、スパでのフリー走行1回目が終わってから、風洞で空力の改良に取り組み、モンツァへ向かう前には、空力テスト日を利用し、空力変更のテストを行っていた。しかし、それでもチームが満足のいくようなグリッドを得ることはできず、レースでの結果には12日(土)の予選結果が大きく反映していた。

予選では、Q2へ進めるようなパフォーマンスを見せることが望まれたが、ニコ・ロズベルグと中嶋一貴はともに、わずかの差でQ2進出を果たせなかった。そのため、大量の燃料を搭載して1ストップ戦略にすることが唯一の選択肢となり、両ドライバーがターン1での事故に巻き込まれる可能性もあった。

車重が700kgを超えていたものの、両ドライバーとも見事なスタートを決め、ロズベルグは14番手、中嶋は15番手までポジションを上げた。しかし、お互いに接触したことで、破片がロズベルグのクルマに引っかかり、空力のバランスが崩れてしまった。さらにロズベルグは、ルノーの1台とも接触し、右フロントのホイールを傷めた。中嶋はリアウイングの翼端版が損傷したことに苦しめられ、その後は燃圧の問題にも悩まされていた。だが、ロズベルグの問題は切迫したものだった。ロズベルグは、パンクを疑って4周目にピットインしたが、ピットストップ後に確認してみると、タイヤの内圧は正常であった。破片がロズベルグのクルマに引っかかったことで空力的に影響し、クルマのバランスが崩れてしまい、タイヤの内圧が落ちたように感じたものだと推測される。また、右フロントのホイールが損傷していたため、タイヤの交換に手間取り、ロズベルグはさらにタイムを失うこととなった。

一方の中嶋は、2台のトヨタを抜き、燃圧に問題を抱えながらも必死にポジションを守っていた。中嶋は予定通りの戦略でレースを走り、スタート時よりも7つポジションを上げたものの、それでも今シーズン初のポイントを獲得することはできなかった。チームは現在、サーキットの特徴がよりF31に合っている2週間後のシンガポールへ向け、クルマの最終的な改良作業を行っている。

ロッド・ネルソン(チーフオペレーションエンジニア)

Q:モンツァはチームにとって、今季最低の結果となってしまいました。この原因は何だったのですか?
ロッド・ネルソン(以下、ネルソン):シーズン中に登場するほとんどのサーキットでは、多くのダウンフォースが必要になる。スパは、長いストレートと高速コーナーが組み合わさっているため、ミディアム・ダウンフォースのトラックだと言える。だがモンツァは、長いストレートと低速のコーナーで大部分が構成されているため、カレンダー上で唯一の低ダウンフォースサーキットとなっている。そのためわれわれは、ダウンフォースを多くするサーキットに向けた開発に、より多くの資源を集中させる方がいいと判断したのだ。また、KERS(運動エネルギー回生システム)が非常に大きな武器になるサーキットでもあったが、われわれはKERSを搭載していない。

Q:モンツァでのニコと一貴は、同じようなハンドリングの問題を抱えていたのですか?
ネルソン:両ドライバーとも、週末を通じて非常に接近したパフォーマンスを見せており、クルマには同じような問題が出ていた。モンツァのようにダウンフォースを減らすと、乗り心地とブレーキングの問題が発生するが、これは通常のことだ。全体的には、シャシーのセットアップに関する妥協にも、両ドライバーともがそれなりに満足していた。

Q:週末の間、タイヤに関する問題は起きましたか?
ネルソン:モンツァではいつものことだが、タイヤには大きな負荷がかかる。その主な原因は、パラボリカで横向きの負荷がかかり続けるためだ。戦略としては、1ストップの方が速くなるため、多くのドライバーが1ストップを選択するが、これによってより長い距離を1セットのタイヤで走ることになり、搭載する燃料の量も多くなる。だが、週末の間にタイヤに関して大きな問題が起きることはなかった。

Q:一貴はモンツァで、ニコよりも予選で上位になりました。これは今シーズン3度目のことです。モンツァでの一貴のパフォーマンスはいかがでしたか?
ネルソン:一貴は、準備をよく整えた状態でモンツァへ向かった。Q1の2回目の走行で彼は、トラフィックにつかまったためにパフォーマンスを出し切れず、0.06秒の差でQ2進出を逃してしまった。レースでは、うまくスタートし、1周目にグロジャン(ロメ・グロジャン/ルノー)とグロック(ティモ・グロック/トヨタ)を抜くことに成功し、2周目にはトゥルーリ(ヤルノ・トゥルーリ/トヨタ)を抜いていた。厳しい戦いだったが、彼はポジションを守り、いいレースを展開した。

Q:ニコは4周目に、予定外のピットストップを行っていましたね。何が原因だったのですか?
ネルソン:1周目に一貴のリアウイングの翼端版が、他車との接触で損傷し、その破片がターン3に落ちていた。皮肉なことだが、その数周後にニコの前を走っていたドライバーがその破片を踏んでしまった。そしてその破片が跳ね上がり、ニコのウイングに引っかかったため、ダウンフォースが失われた。ニコはパンクが原因だと考え、タイヤを交換するためにピットへ入ったんだ。

Q:次はシンガポールです。シンガポールでのFW31のパフォーマンスを、どのように予想しますか?
ネルソン:また上位に戻れると期待している。いくつか空力の改良を予定しており、シーズン終盤の4戦では、またコンスタントにポイントを獲得できると思っている。

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