パナソニック・トヨタ・レーシングは今週末、東南アジアに向かい、マリーナベイ市街地サーキットで行われるF1唯一のナイトレース、シンガポールGPに臨む。
シンガポールのセッションは、予選開始が現地時間午後10時、決勝が同午後8時と、夜間のため、十分な明るさに達するように、1000個を超える照明設備が使用される。チームが昨年、初めて体験した照明下のグランプリは、ティモ・グロックが4位、表彰台まであと少しのところを走行していたヤルノ・トゥルーリは、油圧系トラブルに見舞われた。
日本GPを目指して開発してきた今季最後の新しいパッケージが投入される今週末、トゥルーリ、グロックは、フロントウイング、そしてリアウイングを含むリアエンドにアップデートを施し、改良したTF109のステアリングを握る。両ドライバーは、金曜日に始まるフリー走行で、ブリヂストンのソフトタイヤとスーパーソフトタイヤとともに、これらの改良点をテストする。イタリアGPでトップ8入りを逃したチームは今週末、最終戦まで4戦続く“フライアウェイ・レース”の初戦を、シンガポールの明かりの中でのポイント獲得で飾るつもりだ。
ヤルノ・トゥルーリ(カーナンバー9)
「唯一のナイトレースのシンガポールは、ユニークで、とても興味深い体験だ。とりわけ、クルマに改良を加えるので、シンガポールで競争力が発揮できればと思う。シーズンを通じ、チームは新しいパーツを一生懸命に導入してきたが、シーズン終盤に差し掛かっても新しいパーツを導入していくのはすばらしいことだ。コースを改めて走ってみないと、私たちがどのぐらいの走りができるか、正確に予測できないが、シンガポールでは今年も戦闘力があると信じている。技術的な問題が起きたために表彰台を逃した昨年は、ついていなかった。重い燃料を搭載して、特に暑いコンディションのなか、バンピーな(でこぼこの多い)路面上を走る、大変なレースだったので、結果がともなわなかったのは残念だった。今年はその借りを返す。正直に言えば、明るさのレベルがコースの場所によって変わるため、昼の光の中で運転するほうが好きだ。しかし、観客にとってナイトレースはおもしろく、昨年は素晴らしい雰囲気だったから、今週末のグランプリを楽しみにしている」
ティモ・グロック(カーナンバー10)
「ファンのための素晴らしいショーなので、夜間のレースはとても好きで、昨年はすごいイベントだった。照明下の走行に慣れないといけないが、個人的には明るさは問題なかった。ただ、午後早くにサーキットに着いて、午前4時にサーキットを出ることは、かなり奇妙だった。シンガポールのトラックは好きだ。有名な建物の前を夜、クルマで通過するのはとても楽しく、ターン10のシケインは、絶対にミスができないところで、挑戦のしがいがある。典型的な市街地サーキットだから、去年は路面のでこぼこがひどく、ドライバーにとっては厳しかったが、なんとかこなした。私はシンガポールで1年前、素晴らしい走りをしたので、同様の結果を今年も出したい。今週末に向けて、クルマを改良することを考えると、どんなレースになるか分からないが、前進できればと思う。私たちはずっと変わらず頑張っているし、トラックに戻るのが待ち遠しい」
パスカル・バセロン(シャシー部門シニア・ゼネラル・マネジャー)
「去年のシンガポールは大成功で、個人的にとても印象に残った。場所はファンタスティックで、ナイトレースは、関係者全員にとって素晴らしい新体験になり、忘れがたいイベントだった。サーキットそのものは高ダウンフォースを要求し、23ものたくさんのコーナーがあるので、ドライバーが重要な要素になり、ドライバーが適切なリズムを見出すことはとても大切だ。ほかにシンガポールで考慮しなければならないのは、ブレーキにとてつもなく厳しいことで、この点に注意しなければならない。しかし、昨年私たちが気づいた最大の特徴は、トラックの路面が信じられないほどひどく凸凹があったことであり、そのため、路面にきちんと対応できるようサスペンションをセットアップすることが優先事項になる。再舗装されたので、問題は減ったかもしれない。今回のレースのために、アップデートしたパーツを投入し、日本GPを目指した、今季最後のTF109改良パッケージが準備されている。それらを金曜日に確認し、より前進することを期待している」
(トヨタ・プレスリリース)