パナソニック・トヨタ・レーシングは3日(土)、鈴鹿サーキットで行われた日本GPの予選を、複雑な心境で終えた。
午前中のフリー走行で最速だったヤルノ・トゥルーリは、チームにとって今季4度目となるフロントローからのスタートを獲得したが、ティモ・グロックは、第2セッションでひどい事故に見舞われ、予選を早めに終えた。
グロックは、左足に切り傷と、背中に痛みがあるものの、検査のために四日市市内の病院に向かった。風邪と熱に苦しみ、前日セッションでの走行を見送ったグロックは、今日、午前のフリー走行でステアリングを握り、元気な姿を見せた。
予選第1セッションで両ドライバーは、ブリヂストンのソフトタイヤを装着して、大きくラップタイムを伸ばした。第2セッションの序盤に、赤旗が出され、8分間の中断後、再開。非常に速いラップを刻んでいたグロックが最終コーナーでクラッシュした頃、ソフトタイヤを履いたトゥルーリは、巧みにラップをまとめた。グロックの事故でさらに14分間の遅れが生じた。最終セッションでも赤旗提示のため5分間セッションが中断したが、再開すると、トゥルーリはTF109の素晴らしいポテンシャルを引き出す好調な走りで、トヨタのホームレースで2番手グリッドを獲得した。
ヤルノ・トゥルーリ カー・ナンバー9 シャシー:TF109/06
フリー走行3回目:1番手 1分31秒709 24周
予選第1セッション:4番手 1分31秒063(トップと0.180 秒差)9周
予選第2セッション:3番手 1分30秒737(トップと0.396 秒差)6周
予選第3セッション:2番手 1分32秒220(トップと0.060秒差)5周
決勝グリッド:2番手(暫定)
「今日は、ティモと一緒にフロントローからのスタートを獲れたはずで、彼に同情する。チームからすぐに、彼の状況を聞き、安心した。ただ私と一緒にトップ6に入ることができなかったのは残念だった。赤旗が複数提示されるという、普段と異なる予選だったが、特に日本のファンの前で結果を出すことができ、とてもうれしい。今週末の改良された新しいパッケージにより、チーム全員が一生懸命頑張り、予選でフロントローとなるチャンスを私にくれた。先頭集団で戦えるクルマを与えてくれた彼らに、感謝したい。上位の結果を狙えるチャンスがあると思っていたので、予選では集中力を切らさないことを優先した。私のラップタイムはクルマから引き出すことができる最速のタイムだと思うので、大変満足している。目標は明確に、トヨタのホームグランプリでの表彰台獲得で、明日の決勝を楽しみにしている。最初の1周をうまく乗り切り、素晴らしい成績を出せるように全力を尽くす」
ティモ・グロック カー・ナンバー10 シャシー:TF109/05
フリー走行3回目:14番手 1分32秒749(トップと1.040 秒差)26周
予選第1セッション:14番手 1分31秒550(トップと0.667秒差)10周
予選第2セッション:14番手 記録なし 3周
決勝グリッド:14番手(暫定)
※グロックのコメントはありません。
パスカル・バセロン(シャシー部門シニア・ゼネラル・マネジャー)
「全体的に、ヤルノにとってとても良い日となり、また、空力が大きく影響するトラックで、私たちのパッケージが素晴らしく機能することを証明した。午前のフリー走行から、ヤルノは調子が良く、力強い予選を行った。もちろん、コンマ1秒以内の差でポールポジションを逃したのは残念だったが、戦略には自信があり、明日は競争力を発揮できるはず。ティモにとっては、違う状況となった。私たちが期待したような予選にはならなかったのは残念だが、大事に至らなかったことが何よりだ。衝撃は大きかったが、技術的な異常はデータ上に表れていない」
新居章年(シャシー部門技術コーディネーション担当ディレクター)
「鈴鹿で最前列のグリッドをヤルノが獲得したことはうれしいが、ティモがクラッシュのため最終予選に残れなかったのは残念だ。午前のフリー走行では2人ともクルマのバランスの良さを感じてくれており、2人そろって上位グリッドを得ることも難しくないと感じていた。その期待のとおりヤルノは、たびたびのセッション中断にも動じることなく、スムーズに予選を戦ってくれた。いよいよ明日は日本グランプリのレースを迎えるが、ここまできたら、念願の優勝実現に、チーム一丸で戦う」
(トヨタ・プレスリリース)