パナソニック・トヨタ・レーシングは2日(金)、鈴鹿サーキットでの日本GPのフリー走行に、これまでと違うドライバーのラインアップで臨んだ。ヤルノ・トゥルーリに加え、サードドライバーの小林可夢偉が、風邪と熱に苦しむティモ・グロックの代わりに走行した。
3年ぶりに鈴鹿に戻ったF1は、1日中降り続いた雨の中、フリー走行1回目、2回目ともウェットコンディションで行われた。初めて、グランプリの週末にF1カーに乗って登場する小林は、ブリヂストンのウェットタイヤを装着してスタート、雨がひとしきり止み、路面が乾き始めたため、小林とトゥルーリはインターメディエイトタイヤに履き替え走行を続けた。難しいコンディションの中、小林は、競争力を見せるラップを数周刻むなど非常に素晴らしい走りを見せ、チームは雨天時のセットアップとシステムの確認を行った。
しかし、午後に雨足は強まり、2回目のフリー走行はどしゃ降りの中で始まった。開始から75分間、走行は全く不可能だったが、その後、両ドライバーは1スティントだけ走行し、路面状況の情報を収集した。グロックは明日3日(土)、セッションに参加する予定だ。
ヤルノ・トゥルーリ:カー・ナンバー9 シャシー:TF109/06
フリー走行1回目:13番手 1分42秒657(トップと2.301秒差)13周
フリー走行2回目:8番手 1分48秒737(トップと1.476秒差)7周
「結局、あまり多くのことは語れない。たくさんの日本のファンにとっては残念なことだが、天候不良のため今日の走行は非常に限られたものになった。ファンに、もっと素晴らしい走りが見せられるように、明日はもっと天気が良くなればと願う。雨のなか、クルマはそれほど悪くなかったが、こんなコンディションでは、あまりコメントのしようがない」
小林可夢偉:カー・ナンバー10 シャシー:TF109/05
フリー走行1回目:19番手 1分43秒407(トップと3.051秒差)16周
フリー走行2回目:12番手 1分49秒054(トップと1.793秒差)7周
「今朝8時半、サーキットに向かう途中で、今日の走行のことを聞いた。ティモの具合が良くないことは知っていたが、代わりに走ると思っていなかったので、少し驚いた。私にとってとても良い機会だったが、コンディションが非常に悪く、結局多くのラップを稼ぐことができなかった。自分とチームのために、できるだけたくさんの周回を走りたかったので、ミスをしないことが大切だった。ウェットコンディションだったので、100パーセントの力を出し切ったわけではないが、鈴鹿での走行経験が多くないことと、ここで6年ぶりに走ることを考えれば、ラップタイムはとても良かった。前回TF109を運転した2月に比べ、クルマは非常に進化したと思う。雨天での評価は難しいが、クルマの開発が非常に進んだことにとても感心した」
ディーター・ガス(レース&テスト・チーフ・エンジニア)
「コンディションが非常に悪く、今日は多くの走行ができない1日だった。残りの週末の天気予報は、良くなるようなので、たくさんの走行をするつもりはなかった。フリー走行1回目と2回目の間は、状況は悪くなるばかりで、午後のセッションの最後に1周するのが精一杯で、あまり有効に活用できなかった。可夢偉は、悪天候と今年の初めからテストをしていないことを考慮すれば、非常に頑張った。彼の貢献を非常にうれしく思う。ティモは明日、戻るはず。ドライコンディションへの準備は特に何もできなかったので、天気予報が変わらない限り、今日のフリー走行の機会を逃してもティモにとっては、たいした問題ではない」
新居章年(シャシー部門技術コーディネーション担当ディレクター)
「待ちに待った鈴鹿での日本GPが始まった。生憎の雨になってしまった以上に、ティモの体調がすぐれず、本日のフリー走行をできなかったことが残念だ。その結果、代わりに可夢偉がトヨタF1カーで鈴鹿を走るという、日本のファンの皆さんへのちょっとしたサプライズとなったが、ティモが回復してきて、明日は走行できそうだ。クルマについては、雨の中での限られた走行ではあったが、ヤルノも可夢偉も、クルマのバランスは良いと言っているので、明日の予選では、ヤルノとティモの2人で、上位グリッドを確保できると思う」
(トヨタ・プレスリリース)