2009年日本GPプレビュー(フェラーリ)

2009年09月29日(火)Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーをはてなブックマークに追加
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第15戦日本GPは、鈴鹿で行われる。この2年間は富士山のふもと、富士スピードウェイで日本GPが開催されたが、今年から鈴鹿にF1が帰ってくる。今年のレースは25回目の日本GPとなり、鈴鹿で日本GPが開催されるのは21回目のことだ。

1962年にホンダのテストトラックとして建設された鈴鹿サーキットは、スパに並ぶ最高のクラシックサーキットとして、F1ドライバーから高い評価を得ている。また、カレンダー上で唯一8の字のレイアウトを採用しているサーキットだ。下り坂のメインストレートから高速の右コーナーを抜けると、有名な”S字”が迫ってくる。その後もスプーンカーブや、F1で最も難しいとされている伝説的な130Rなどが続く。高速で流れるようなコースだが、ここでのオーバーテイクは簡単ではない。ラップ終盤のシケインが最大のチャンスになるが、もしコンディションさえ合えば、1コーナーやヘアピンなどでもオーバーテイクは可能である。

名物となっている『ゆうえんちモートピア』の大観覧車、夜遅くまでピットの向かい側にあるグランドスタンドに残っている、世界で最もお行儀のいいファンに加え、今年はパドックの施設が新しくなっている。また、路面が再舗装されたセクションもある。再舗装されてからは時間がたっているため、新しい路面で直面するような問題は起きないだろう。

鈴鹿で初めて日本GPが開催された1987年、レースに優勝したのはフェラーリのドライバーはゲルハルト・ベルガーだった。だが、スクーデリアが次に鈴鹿での勝利を手にするまで、10年もの歳月を費やしてしまった。2回目の勝利は1997年、ドライバーはミハエル・シューマッハだった。シューマッハは、その後もさらに4回の優勝をフェラーリへもたらし、ルーベンス・バリチェロ(現ブラウンGP)も跳ね馬で1勝を記録した。スクーデリアは2000年から2004年にかけて、鈴鹿5連覇という大記録を達成している。現在のドライバーに関して言えば、キミ・ライコネンはマクラーレン在籍時の2005年に優勝しており、このほかに鈴鹿で3回表彰台へ上った。ジャンカルロ・フィジケラにも鈴鹿で表彰台へ上がった経験があり、2005年は2位(この年の優勝はライコネン)、2006年には3位になっている。

しかし、F1では過去の記録は重要なものではなく、今年のスクーデリアがドライバーを表彰台へ送り込むのは困難になるだろう。27日(日)のシンガポールでのレース後、両ドライバーとチーム代表はそれぞれ、すでに開発を終えたF60がこの先、開発を続ける他チームのクルマに対抗することは難しくなると語っていた。フェラーリは世界選手権を目指して戦っていたが、タイトル獲得が不可能だと判明したときから、2010年のクルマで最高の競争力を発揮することに力を注いでいる。

F60の長所を見てみると、予選での序盤2回のセッションで必要になるような燃料を少なくしたときよりも、レース時のように多くの燃料を搭載したときのパフォーマンスが良くなる傾向にある。鈴鹿でのラップタイムは接近したものになり、少なくとも曲がりくねったシンガポールよりはオーバーテイクの可能性も高くなる。そのためライコネンとフィジケラは、スタート時にKERS(運動エネルギー回生システム)の力を借りてポジションを上げることを期待でき、レース中のオーバーテイクにも役立つだろう。

クルマの開発に関する決定が、最後の3戦へ向けたスクーデリアの取り組みに影響を与えることはない。ドライバーがポイントを獲得するチャンスを最大限に大きくするため、チームの全員が全力を尽くしていく。選手権3位を争う戦いは、F1で最も接近した戦いになっており、「選手権での表彰台」最後の1枠は、戦う価値のあるものだ。

技術的な困難には直面する可能性はあるが、スクーデリアの両ドライバーにとっては、鈴鹿であることが有利になるかもしれない。鈴鹿は、スパ・フランコルシャンと同じ要素があると言われることも多く、ドライバーの能力が厳しく試されるコースだとされている。数週間前にライコネンは、困難を乗り越えてベルギーGPを優勝しており、そのライコネンにチェッカーフラッグまでプレッシャーを与え続け、2位に入っていたのは当時フォース・インディアに所属していたフィジケラだった。

「技術的な観点、特に空力の面から見ると、鈴鹿は厳しいトラックだよ。大きなダウンフォースが必要になるけど、正直に言って今の僕たちには上位で戦う力がない。でも、自分たちの手元にあるものから最大限のパフォーマンスを引き出すため、できることは何でもやっていく」ライコネンはこのように語っている。

フィジケラは、ドライバーの能力がF60の不利な点を補ってくれることを願いながら、次のように語った。

「僕は闘争心を失っていないし、情熱的なファンの前でいいパフォーマンスを見せたいと思っている。日本には僕のファンクラブもあるしね。まだフェラーリに来てから数週間だけど、このチームの全員が決してあきらめないことは分かっている。それに、鈴鹿からの3戦では、みんなの頑張りがいい結果に結びつくと確信しているよ」

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