ルイス・ハミルトン(MP4-24/02)
3番手スタート、3位フィニッシュ
ベストタイム:1分33秒259(6位)
ピットストップ:2回(ソフト側-ハード側ソフト側)
選手権ポイント:43ポイント(6位)
3番グリッドから力強いスタートを切ったルイス・ハミルトンは、2番手のヤルノ・トゥルーリ(トヨタ)を追い抜き、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)に外側から襲いかかりながら、2番手で第1スティントを走り始めた。
「スタート時にヤルノとセバスチャンを追い抜こうと思った。でも、トップに立つことはできなかったよ。ヤルノとはいいバトルになった。僕らは本気で戦ったし、お互いに予選のような走りをして、コンマ1秒を稼ごうとしていたよ。ただレース距離を走ると、僕のクルマは彼のクルマに対抗できなかった」
先行するレッドブルのペースに追いつけなかったハミルトンは代わりに、トゥルーリに勝つための戦術的な戦いに集中した。ルイスは最初の2つのスティントではポジションを維持したが、KERS(運動エネルギー回生システム)にトラブルが発生し、最後のスティントでは2番手を守ることができなかった。
「2度目のピットストップのとき、ピットアウト時にギアボックスのトラブルが起きてタイムを失った。ピットレーンで100メートルくらい惰性で走ったよ。これで僕は1秒ほど失った。正直、最終ストップでヤルノに抜かれても驚かなかったんだ。3秒の差をつけるためにコンマ1秒ずつ引き離す必要があったけど、それができなかった」
エンジニアがKERSのトラブルを解消できなかったため、ハミルトンは3番手にとどまることになった。そしてセーフティカーの導入によって各車の差が詰まったため、ハミルトンはポジションを守る必要があった。
「セーフティカーの後ろにいたとき、一気にヤルノを追い越せるように、チームにまたKERSを使いたいと頼んだ。でもれは無理だった。再スタートの後、僕は彼のスリップストリームに入れるほど近づけなかったからね」
ヘイキ・コバライネン(MP4-24/03)
11番手スタート、11位フィニッシュ
ベストタイム:1分33秒801(12位)
ピットストップ:2回(ソフト側-ハード側-ソフト側)
選手権ポイント:22ポイント(12位)
ヘイキ・コバライネンは9番手で予選通過したが、レース前に予定外のギアボックス交換したことで11番手に降格した。コバライネンは序盤から激しく攻め、すばらしいスタートで9番手に上昇、エイドリアン・スーティル(フォース・インディア)を捕らえて、さらに順位を上げようと狙った。
両者は13周まで第1スティントの大半を接近して走行していたが、13周目にシケインでスーティルがコバライネンの内側を攻め、最終的には接触した。スーティルはスピンし、接触でスピードを失ったコバライネンはジェンソン・バトン(ブラウンGP)にポジションを奪われた。
その後、コバライネンはトップ10周辺で攻め続け、24周目にピットインしたが、フロントのホイールカバーにトラブルが起き、次のピットストップ時に交換が必要になった。そして39周目、ジャンカルロ・フィジケラ(フェラーリ)を追いながらピットアウトしたコバライネンは、1コーナーでフィジケラを追い抜いた。コバライネンは11位でフィニッシュしている。
「結果にはちょっとガッカリした。クルマの限界で走っていたけど、それでも高速コーナーではグリップが足りなかった。だから、これ以上の走りは僕には無理だったよ。最初から最後までプッシュした。エイドリアンが抜こうとしてきたけど、中途半端な動きだったから、彼と並んだままになった。彼がコーナーを曲がり始めたとき、僕はすでに縁石の上だったから、あれ以上逃げ場がなかった。それで彼と接触したけど、彼のほうが大きなトラブルに見舞われたね」
「右フロントのホイールにトラブルが起きて、2度目のピットストップはうまくいかなかった。それでフィジケラが僕の直前に割り込んできたんだ。僕の方が早くピットレーンのスピードリミッターを解除することができて、すぐにKERSを使った。彼は僕のために進路を空けてくれたから、簡単だったよ。大きなバトルにはならなかったね」
マーティン・ウィトマーシュ(チーム代表)
「鈴鹿はなんともエキサイティングで困難なサーキットだ。ドライバーにとってもエンジニアにとっても。特に、ほんの数週間前にこの種の高速サーキットでわれわれが見せていたパフォーマンスを考えれば、ここで手堅く3位を獲得できたのは、決して失望するような結果ではない」
「ルイスはこれまで、そしてこれからも究極に競争力のある選手であり続けるだろう。彼は、1コーナーでセバスチャンを抜くことを願っていた。だが実際は、スタートラインから1コーナーまでの距離が短く、簡単にはいかなかった。そして、セバスチャンが1コーナーでリードを守ると、その後はずっとルイスを寄せ付けなかった」
「ルイスはその後、ヤルノとの神経戦に集中した。2度目のピットストップでヤルノの後ろ3番手になったルイスは、KERSのドラブルに見舞われ、そのトラブルは解消できなかった。彼がKERSを使わずに、KERSを使用しないことが原因のブレーキバランスの変化に対応するため、全く新しいドライビングスタイルで走らなければならなかったことを忘れないで欲しい。彼は本当に素晴らしい仕事をして3位を死守し、チェッカーフラッグを受けるまで、キミ(ライコネン/フェラーリ)も寄せ付けなかった」
「予選でのヘイキのトラブルは昨日の午後、ギアボックスを交換したことで受けた5グリッド降格によって、さらに大きなものとなった。そしてヘイキは、11番手からポジションをばん回するという、非常に難しい1日を迎えた。だが鈴鹿は、道幅がせまく難しいコースであるため、ここでオーバーテイクするのは見掛けよりも難しいのだ。ヘイキが11位でガッカリしているという事実は、彼の闘争心の証明だ。だが、彼はすでにインテルラゴスに向けて楽観的に話をしている」
「インテルラゴスでのブラジルGPに向けてわれわれは、ドイツGP以来のわれわれがやってきたような取り組み方で臨む。つまり、コンストラクターズ選手権3位を獲得するため、積極的になるべく多くのポイントを取りにいくということだ」
ノルベルト・ハウグ(メルセデス・ベンツモータースポーツ副社長)
「ルイスは今回も素晴らしいレースを展開した。チームと彼は16ポイントを獲得している。2週間前のシンガポールでは優勝を果たし、鈴鹿では3位だ」
「2度目のピットストップ後、ルイスのKERSに絶縁のトラブルが起きている可能性があった。その根本な原因については、調査中だ。2度目のピットストップ後、念のためシステムは電源が切られた。ルイスはKERSの助けを借りることなく走行せねばならなかった。それにより、ブレーキバランスに問題が起き、出力が落ちて、ラップタイムに響いたのは明らかだ」
「このような問題にも関わらず彼はすばらしい仕事をして、セーフティカーが解除された後、再スタート時にキミに対して3番手を守った。それどころか、最後の数周ではキミのとの差を開いていた」
「ヘイキは予選のクラッシュ後、ギアボックス交換のために5グリッド降格のペナルティーを受け、11番手からの不利なスタートを切った」
「ボーダフォン・マクラーレン・メルセデスは、ルイスが7月末のハンガリーGPで優勝して以来、6レースで51ポイントを獲得した。この期間には、どのチームよりも多くのポイントを獲得している」
「9レースで14ポイントというシーズン前半の低迷から回復するため、熱心に仕事に取り組んでくれたウォーキングやブリックスワースやシュトゥットガルトにいるチームの全員に感謝したい。最近の6レースでは51ポイントを獲得した。もちろんこれはいい気分だ」
「最後に、素晴らしい優勝を達成したセバスチャン・ベッテルとレッドブルを祝福したい。これによって世界選手権を争う戦いは続くことになった」