伝統的に、日本GPでは雨が一役演じるのが常だ。富士で大雨となった2年前を覚えておいでだろうか。そして、開催地が鈴鹿に変わってもこの傾向は変わらなかった。午前はわずかに天候が改善したものの、フリー走行セッションはいずれも雨の中の走行となった。
外からは恐ろしく見えるだろうが、F1ドライバーというものは特別なので、インターミディエイトとウェットの両方のレインタイヤを評価しながら、ドライバーの多くがこの経験を楽しんでいるようだった。これらのタイヤは、ブリヂストンが小平市にある技術センターから鈴鹿まで322キロの距離を運んできたものだ。F60は2台ともトラブルもなく走行を行い、午後には水が川のようにコース上を横切っていたため、走行から得られることはわずかだとの見方から、合計でわずか62周を走破するにとどめた。実際、最後には、チーム代表のステファノ・ドメニカリが、チームは作業のためではなくグランドスタンドの我慢強いファンのために見せ場を作るため出走したのだと語っている。
セッション終了時にコースに出ていたことでドライバーは、グリッドからのスタート練習を行うことが出来たのだが、それは日曜日(4日)が雨だったら役に立っただろう。現在の天気予報では、日を追うごとに天気が回復していくと予報されている。
午前中は実際のところ、2回目のセッションよりも有益であった。最速のタイムは午後よりも約7秒速かった。ジャンカルロ・フィジケラは4番手で、キミ・ライコネンは8番手だった。マクラーレン・メルセデスのヘイキ・コバライネンが、地元日本の中嶋一貴(ウィリアムズ)を抜いて、午前のセッションで最速であった。フォース・インディアのエイドリアン・スーティルが3番手、5番手はフェラーリエンジンを搭載するトロ・ロッソのセバスチャン・ブエミ、先週末にシンガポールGPを制した世界チャンピオンのルイス・ハミルトン(マクラーレン)が6番手だった。ハミルトンの後の7番手は、世界チャンピオン経験者のフェルナンド・アロンソ(ルノー)、8番手はライコネン。
この日のタイムシートには新しい名前が1つあった。トヨタの小林可夢偉だ。可夢偉は、体調が優れないドイツ人ドライバー、ティモ・グロックの代理を務めていた。グロックが明日はコースへ戻ってくることが望まれる。