残念ながら、F1から去るチームと、去る可能性があるチームがある。
振り返ると、2008年12月5日にホンダが撤退。そして2009年7月29日にBMWが2009年を最後にF1撤退を発表した。どちらも自動車業界の苦しい状況が撤退の理由だった。
そしてもう2チーム、F1から去る可能性があるチームとしてルノーとトヨタが噂されている。どちらも本業の業績不振に加え、F1の成績不振もあるだろう。
ルノーは、2008年シンガポールGPのクラッシュゲート事件により、チーム幹部としてリードしてきたフラビオ・ブリアトーレとパット・シモンズが離脱。さらにイメージ悪化によりスポンサー2社が即撤退。そしてその約1週間後にはエースドライバーとしてチームを引っ張り、2度のドライバーズチャンピオンとコンストラクターズタイトルを獲得してきたフェルナンド・アロンソ(28歳、スペイン)がフェラーリへの移籍を発表。悪夢のような9月だったはずだ。
一方トヨタは、クリーンなイメージではあるが、目標である優勝にあと一歩届かない。F1にもトヨタ方式を導入するなど日々カイゼンしているが、F1では優等生すぎるのか、思うような結果が出ない。多くのチームがリーダーひとりを中心にすべてを決定していく中で、トヨタはチームを強く意識しているのだ。
F1では、絶対的な責任者が必要なのは間違いない。それは、ホンダを引き継いだブラウンGPを見ていればよくわかる。ほとんどのチーム責任者には絶対の権限があり、絶対の自信がある者が責任を持ってリーダーを務めている。もちろん、成績が振るわなければ解雇されるが、それはF1でもビジネスでも同じこと。多くの人が挑戦できるからこそ、エンジニアにとっても魅力的なスポーツなのだろう。
幸い、撤退を発表したBMWは、チームを謎のスペインの投資会社Qadbak(クァドバク)に売却。現在、14番目の2010年F1参戦候補チームに回されてしまった元ザウバーチームは、フェラーリエンジンを希望しているようだ。
去るチームがあれば、新たに参戦するチームもある。F1は撤退しない。2010年のF1が楽しみだ。