フランスの自動車メーカーであるルノーは、F1チームを率いるフラビオ・ブリアトーレ(マネジングディレクター)の交代を申し出ているようだ。
”クラッシュゲート”にかんする聴聞会が今月21日(月)に開かれる前に、F1を統治しているFIA(国際自動車連盟)に対してなされたこの提案は、世界モータースポーツ評議会に譲歩する動きとしてのものだとスペインの『AS(アス)』紙が書きたてている。
メディアに漏えいしたクラッシュゲートにかんする証拠は、ルノーにとっては良い前兆とは言えない。ブリアトーレとパット・シモンズ(エンジニアリング部門エグゼクティブディレクター)は1年前、シンガポールで故意にクラッシュするよう指示したとして、元ドライバーのネルソン・ピケJr.から告発されているのだ。
『Diario AS(ディアリオAS)』紙によると、ルノーはブリアトーレを放出し、GP2チームのARTの代表を務めているフレデリック・バスールに後任を務めるよう求めているという。興味深いことに、バスールはFIAの会長候補であるジャン・トッドの息子、ニコラとビジネスをしている。
ブリアトーレの後任候補としては、アラン・プロストの名も浮上しており、4度のワールドチャンピオンに輝いたプロストはモンツァで次のように語っていた。
「私が唯一知っていることは、そういったうわさがあるということだけだ。何が起こるか見てみないとわからないよ」
クラッシュを指示したとされる疑惑について、ブリアトーレが責任を追及されることを示す強い兆候は他にもある。
イギリスの『Times(タイムズ)』紙は、シモンズが全面的にFIAに協力すれば、ピケJr.のように免責されると報じている。
シモンズは最近のFIAとクエスト法律事務所の面会で、この件にかんしてさらに知っていることを強くほのめかしていた。シモンズはそのとき、自身の立場を「守る」方がいいため、罪を証明するような質問には答えたくないと語っていた。
シモンズが話すとすれば、免責を与えられた場合のみになるだろう。
『Times(タイムズ)』紙はまた、調査団はピケJr.の主張「妥当でバランスの取れたもの」と考えていると伝えた。そして、現FIA会長のマックス・モズレーは『the Guardian(ガーディアン)』紙に、「クルマから得られたデータは、ピケJr.がクラッシュを喫したコーナーで、確かに何か非常に異常なことが起きていたことを示していた」と述べている。
またモズレーは、ピケJr.とその父親が、シンガポールでのナイトレースで偽証することによって実刑の判決を受ける危険を冒している可能性は、非常に低いだろうとの意見に賛同した。
シンガポールでピケJr.がクラッシュしたという知らせに、ブリアトーレが口やかましく反応していたことを示す、ルノーのチーム無線の内容が明るみに出ている。
「なんてことだ、すべてぶち壊しだ。アイツはドライバーなんかじゃない」とブリアトーレは無線で語っていた。