10日(土)、東京・お台場の特設会場で、「モータースポーツジャパン2009」が行われた。同イベントは今年で4回目となる。
「ホンダF1スペシャルデモンストレーション」で、アラン・プロストが1989年に乗っていたMP4/5が走行エリアに運ばれた。F1マシンの走行はなく、エンジン音を披露。ホンダF1活動の第2期に、V10エンジン開発プロジェクトリーダーとして活躍した白井裕氏と元F1ドライバーの中嶋悟氏が登壇した。
白井氏は当時のエンジン開発について振返った。エンジンにたくさんの空気をどのように入れるか、さらにエンジンパワーを上げることが課題だったという。当時、MP4/5のステアリングを握ったプロストとアイルトン・セナが10勝をあげたものの、毎戦苦労していたことを明かした。
当時ロータスのマシンをドライブしていた中嶋氏は「(MP4/5の)後ろ姿ばっかり見ていました。ときどき、バックミラーに映っていました。それだけこの2台だけが突出して速かったんです」と語った。
今回のV10エンジンを元にして、1990年に準備を始め1991年に中嶋のクルマに搭載したエンジンは“SN(SATORU NAKAJIMA)エンジン”と呼ばれ、エンジンに刻印されているという。エンジンに名前が刻まれたことは後にも先にも中嶋氏だけとのこと。優勝してもらいたい気持ちが込められたエンジンを搭載した中嶋は、当時プレッシャーをかけられたようだ。「勝てるもんなら、勝ちたかった」と中嶋氏は明かした。
ホンダのエンジニアがエンジンを始動させ、少しずつ回転数を上げていく。今では聞けなくなったホンダF1のV10エンジン音が、甲高く、お台場の空に鳴り響いた。