ルノーがイメージの悪化や離脱したスポンサーについて心配そうにそろばんをはじく中、デビッド・リチャーズがクラッシュゲート事件の影響が続くルノーチームに食指を伸ばし始めた。
ドイツの『Auto Motor und Sport(アウト・モートア・ウント・シュポルト)』やイギリス放送局『BBC』などの報道によると、プロドライブやアストン・マーチンを率いるリチャーズは、ルノーチーム買収を狙っている可能性が高いという。
『BBC』はリチャーズがルノーを5000万ドル(約45億円)で買収する構えも見せていると報じている。リチャーズは1990年台後半、強さを誇ったベネトンで一時期はチーム代表を務めたこともある。
一方でドイツの『SID通信』は、57歳のリチャーズが先日、フランクフルト・モーターショーでルノーSAのカルロス・ゴーンCEOと会見し、その後、イギリスにあるチームの本拠地を訪問したと伝えている。
F1界から完全追放となったフラビオ・ブリアトーレの後任として今週末からマネジングディレクターを引き継いでいるのは、これまで広報およびマーケティングを担当していたジャン・フランソワ・コベである。
コベは、ブリアトーレ体制のもとで着実に「ルノー文化」を失っていったことで、今回の過ちに至ったのだと認めている。
「チームに100%の自主性を与えることで起きてしまった過ちを、二度と繰り返したくない」とコベは言う。
ボブ・ベルをチーム代表に据えた今回の新体制が、アラン・プロストをチーム代表に就任させる前の一時的な足がかりに過ぎないとの見方に関して、コベは意見を述べなかった。
「報道されているような名前についてはコメントしない。職責が決定すれば適任者を探すことになるだろうが、それは12月か1月になるはずだ」とコベは語った。
コベはまた、クラッシュゲート事件で打撃を受けたもののルノーは、F1撤退のみを視野に体制建て直しを図っているわけではないとも主張している。
「ここ2、3週間で、われわれは罪を認めたが、取るべき道は2つ残されていた。業火を渡るのか、渡らないのかどちらかだ。そしてわれわれは最終的に、渡ることに決めたのだ」とコベは説明した。
「結局、われわれはひどいやけどを負ってしまった。これはまぎれもない事実だ。チームのイメージはずたずたになっている。ここ2週間、世界中のメディアで非常に否定的な報道が行われているが、われわれは前進していく」
「今日は質問の嵐もなく平常どおりだが、それでも、INGが去って、われわれが厳しい状況におかれていることに変わりはない。スポンサーシップも資金も厳しいし、もっと長期的に見たF1でのビジネスモデルも決めなければならない」
「これは、われわれが取り組むべきであり、その答えを出さなければならない深刻な問題だ」コベはこう加えた。