2009年F1世界選手権も残すところ2戦。より大きなプレッシャーがかかるのは自分よりライバルたちの方だと、ジェンソン・バトン(ブラウンGP)は断言する。
しかし仮に日本GPのような結果がブラジル、アブダビと連続すれば、バトンは世界チャンピオンになれない。
F1関係者の中には、現状を2007年の選手権になぞらえるものもいる。この年、ルイス・ハミルトン(マクラーレン)は残り2戦の時点で17ポイントのリードを持っていながら、結局タイトルを取り逃がしているのだ。
『BBC』解説者のデビッド・クルサードはこう分析する。「ベッテル(セバスチャン・ベッテル/レッドブル)は、キミ・ライコネン(フェラーリ)が選手権を獲得したときよりも近い位置にいるね」
日本GPで8位に終わったバトンはレース後、ハミルトンの二の舞いを演じないためにはどうしたら良いか報道陣にきかれ、こう答えている。
「どんな理由であるにしろ、彼(ハミルトン)はポイントを取れなかった。重要なのは、ミスを犯さないことだよ。僕は別にプレッシャーを感じていないけどね」
「シーズンが終わりに近づくにつれ、僕を追う者により大きなプレッシャーがかかってくる」
『Bild(ビルト)』紙は、画像加工ソフトで細工した1枚の写真を掲載している。ベッテルが鈴鹿で選手権ポイント差を9ポイント縮めた末、バトンがブラウンGPのロゴが入ったオムツをしている姿だ。
マシンの速さに加えてベッテルに有利なのは、タイトルの可能性が消えたチームメートのマーク・ウェバーから全面的なアシストを受けられる点だ。バトンの場合、チームメートのルーベンス・バリチェロとはもっとも近いライバル関係にある。
レッドブルのクリスチャン・ホーナー(チーム代表)は次のように述べている。「セブ(ベッテルの愛称)を助けるためだったら何でもするよ」
シーズン大詰めの次戦ブラジルGPでバトンを待ちうけるもうひとつのハードルは、バリチェロの生家に程近いインテルラゴスが舞台という点だ。しかもサーキットに詰めかける観客は、1年前にフェリペ・マッサ(フェラーリ)がイギリス人(ルイス・ハミルトン/マクラーレン)を相手にタイトルを取り逃がした事を今も苦々しく思っている。
バトンは言う。「なかなか興味深い展開だよ。でも、ルーベンスと僕の仲は上々だ。ブラジルに着いたらどうなるかはわからないけどね。僕は心配していない」
「サンパウロは好きさ。レースの週末が楽しみだ。僕にはまだ14ポイントのリードがある。それを忘れないで欲しいな」